廃業を知る

スモールM&A、個人M&Aの原状と課題 公認会計士 小木曽正人先生インタビュー(前半)

スモールM&A

廃業支援センターインタビュー今回は株式評価の専門家である小木曽先生に、スモールM&Aや個人によるM&Aに関わる現状や課題点についてお話をお伺いしました。

—小木曽先生はM&Aの世界に長く携わっていらっしゃいますが、M&Aの現状がどのようになっていて、そこにどんな問題があるかなどについてお聞き出来ればと思っています。小木曽先生がM&Aの世界に関わるようになったのはいつ頃からでしょうか?

私がM&Aに関わるようになったのは2004年からですね。

—その当時から比べると今は明らかに変わったなという事はありますでしょうか?

小規模M&A、スモールM&Aが明らかに増えたという事ですね。2004年当時は、上場企業などの規模の大きい会社の再生と再編の案件がメインでしたが、近年はよりM&Aがより身近なものになってきました。2004年頃は個人でM&Aをする事はほぼ考えられなかったです。

—M&Aが民主化したというか一般化したという事ですね。そうした流れの中で「サラリーマンは300万円で小さな会社を買いなさい 人生100年時代の個人M&A入門」といった書籍の出版も話題になりました。中小企業の社長たちも「俺たちでも出来るんだ」という機運が高まってきたという事ですね。

はい、そこが2004年や2005年頃との大きな違いですね。またM&Aのプラットフォームが出来た事の影響もあります。プラットフォームが無ければスモールM&Aや個人によるM&Aはあり得なかったと思います。

スモールM&Aがインターネットによってより身近な存在に

スモールM&A

—インターネットとM&Aがうまくマッチしたのが近年の大きな変化という事ですね。

ここ数年の変化ですね。案件の数も年々増えていますね。

—それだけ市場が大きくなったという事で、成功事例である光の部分もあれば当然闇の部分もあると思います。会計の専門家である小木曽先生からすると、M&Aのネガティブな面や注意しなければならない部分はどんな事になりますでしょうか?

個人のM&Aという事に絞ると、そもそも経営という事を知らない人が経営者になる事の難しさがあります。

—経営を知らない人でもお金があれば経営者になれてしまうという事ですね。

経営を学ぶところが日本では少ないです。個人が300万で会社を買った時にWEBサービスなどであればまだいいと思いますが、人を雇用するという時には経営者になってきます。そこでは経営の経験がある無しは大きな問題になってきます。

—ひとり社長が個人事業主的にするのであれば、忙しい時は頑張って漕いでそうでないときはゆっくりするという自転車操業的な事も出来ますが雇用を生むとそれ以外の責任が生まれてくるという事ですね。

個人でのM&Aで求められる3つのチカラ
業界に経験があったとしも「人を雇う」「お金を扱う」「営業をする」という事を全部やってきた方はサラリーマンだと本当に少ないですね。この三つのうちせめて2つをやっていないと会社を買う際には難しい面が出てきます。

—そこで壁にぶち当たってしまう人も多いという事でしょうか?

多いと思います。そこでもがいてやれる人とそうでない人に分かれてくると思います。本来であれば伴走してくれる方がいる事が望ましいです。会計士や税理士がしっかり入っていれば、お金の出し入れの仕方や考え方を学べたりアドバイスをもらえる事になります。そうした伴走車が居れば直ちに潰れるという状態にはなりづらいです。お金の事が分かる人は、営業や人の事が分からなかったりするケースもあります。そうした場合は営業のサポートをしてもらえれば、人の事に自分は注力できる事になります。事業運営をする中でサポートを受けられる体制を用意する事が重要になります。

M&Aにおける伴走者の重要性 

スモールM&A
—プラットフォームを使ってM&Aをして、伴走者が誰もいないというケースもありうるという事でしょうか。

そうした事も多いと思います。また、買った方がどこまでリスクを許容しているかという事にも関わってきます。スモールM&Aや個人のM&Aに関しては、経営を学ぶ場が少ない事や伴走者の問題など、まだ成熟していない側面もあると思います。

—事業承継の点で考えると高齢な経営者が後継者に困っていて、第三者の若い方が思いを引き継いで承継するという、ある意味美談がいくつも紹介されていますが、私としてはそうした事例ばかりでは無いと思うのですが、小木曽先生はどのように思っていますでしょうか?

ほとんどじゃないでしょうか。規模の大きな会社によるM&Aは別として、小規模のM&Aや個人によりM&Aは相当大変ですね。売り手の会社の社長の影響力を極力少ない状態で売らないと揉めてトラブルになるケースが多いです。

社長の影響力を少なくする事がスモールM&Aの成功のポイントになる

スモールM&A
—承継者が身近に入ってきて、前オーナーさんが気にならない訳がないですよね。中小企業・零細企業だと社長の営業力・お金の回し方・業界でのポジションの併せ技でなんとか持っている会社が多い印象があります。

はい、社長が居なくても運営できる体制をつくっておく事が、事業承継をしたいと思っている会社にとって一番大切な事だと考えています。社長の影響力が大きい会社を買うと気は相当なリスクがある事を想定しないといけないですね。そうした場合は、前社長からの引継ぎが充分でなくてもやりきる覚悟が必要だと思います。

著者プロフィール

小木曽公認会計士事務所 設立 所長 公認会計士 税理士 平成11年10月 監査法人トーマツ(現有限責任監査法人トーマツ)名古屋事務所 入所 平成24年12月 小木曽公認会計士事務所 設立 所長就任(現任) 平成26年5月 株式会社トレジャリンク 設立 代表取締役就任(現任)

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