廃業を知る

廃業手続きに必要な費用や流れ、注意点をわかりやすく解説

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会社の成長が見込めなくなった時、自分の将来と従業員の将来を考えて廃業を決意することは、今の時代、珍しいことではありません。

廃業に至るには「債務を清算し切れない」「黒字に転じることができない」などの理由がありますが、新たな事業をスタートさせる目的で、現事業の早めの廃業を決断する人も少なくありません。

この記事では、廃業を検討している経営者に向けて廃業手続きに必要な費用や手続きの流れをわかりやすく解説していきます。

廃業手続きを始める前の準備

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経営者は、経営の悪化や経営者の体力の衰えによって初めて廃業を意識しはじめるようになりますが、たくさんの手続きや様々な関係者への対応が発生するため、廃業手続きになかなか踏み切れない方もいます。

実際に廃業手続きを始める場合、どのような準備をする必要があるのかをご紹介していきます。

本当に廃業が必要なのか冷静に分析する

過去に事業の継続ではなく廃業を選んだ経営者や事業主は、以下のような理由で廃業を決断しています。

  • 経営者の高齢化や健康的な問題
  • 事業の将来に対する不安
  • 主要販売先との取引終了や相手先の倒産
  • 経営者の家族の問題
  • 事業のさらなる悪化の回避
  • 後継者不足

しかし、事業の未来に黒字化の可能性が残されていたり、事業に魅力的な価値があったりする場合は事業承継や引き継ぎによって経営者に一定の財産が残ることもあるため、あらゆる可能性を考えて適切な選択を取ることが推奨されます。

たくさんの債権者と債権を抱えてしまっている場合は、「会社の資産で清算できるのか?」と疑問に思う方もいるでしょう。

「本当に廃業が必要なのか?」をまずは冷静に自己分析してみて、それでも答えが出てこなかった場合は、廃業やM&Aに精通した専門家にアドバイスを受けることで、納得できる道に進むことができます。

利用できる廃業支援を調べる

事業承継でも引き継ぎでもなく廃業を選んだ場合、補助金や保証金を受けられる廃業支援の対象になるかを調べましょう。

廃業支援は中小企業庁による「事業承継補助金」、各都道府県の信用保証協会による「自主廃業支援保証」などがあります。

廃業支援の種類や要件については、以下の記事で詳しくご紹介していますので参考にしてみてください。

廃業届などの書類を揃える

廃業手続きには多数の書類を作成する必要があります。

個人事業主と法人で準備する書類は異なり、法人で廃業手続きを進める場合は書類の数がさらに増えるため代理弁護士や顧問税理士と協力して準備を進めるのが一般的です。

例えば、個人事業主が廃業手続きをする場合には以下の書類などが必要になります。

  • 廃業届
  • 各都道府県の税事務所へ提出する廃業の届出書類
  • 事業廃止届出手続
  • 給与支払事務所等の開設・移転・廃止の届出
  • 所得税の青色申告の取りやめ届出書
  • 所得税及び復興特別所得税の予定納税額の減額申請手続
  • マイナンバー
  • 本人確認書類

各種書類の入手方法や廃業届の書き方、提出方法は以下の記事で詳しくご説明しています。

廃業手続きに必要な費用

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「廃業には多額の費用がかかるのでは?」と想像する方もいますが、実際にどのような部分に費用が発生するのかを詳しくご説明していきます。

登記・法手続きの費用

事業の終わらせ方を廃業にした場合、会社の解散・清算手続きに係る登記費用が発生します。

登記費用 金額
解散登記 30,000円
清算人登記 9,000円
清算結了登記 2,000円
合計 41,000円

また、事業の廃業を債権者に通知するために官報公告が必要になり、1行あたり3,589円の費用が発生します。会社の解散の公告は大体9行〜11行になるため、総額3万円〜4万円になると想定されます。

他にも、登記の前後には会社情報を取得する商業・法人登記情報や登記事項証明書を発行するために、1,500円前後の郵送代が発生します。

士業専門家への報酬費用

個人事業主以外の廃業の場合、多岐にわたる手続きの負担を軽減し、廃業を失敗させない目的で弁護士や税理士など士業専門家に手続きを代行してもらうのが一般的です。

廃業に係る解散や清算などの一連の手続きの代行を士業専門家に依頼する場合、大体60万円〜70万円の費用が発生すると想定しておきましょう。

トラブルなく無事に廃業手続きを終わらせるためには必要な費用になります。

設備処分費用

事務所や事業者で利用していた設備や機械などは、会社を解散させる際に処分しなければなりません。

費用は処分する設備の種類や数によって異なりますが、トラック1台分で数万円以上の費用が発生すると想定しておきましょう。事業の規模次第では、1,000万円以上の費用が発生する場合もあるため、廃業支援を有効活用したいところです。

また、処分費用は引き取り先を見つけることで削減することも可能です。

建造物の原状回復費用

事務所や事業者が賃貸物件だった場合は、会社の解散に合わせて原状回復費用が発生します。

大体1坪数万〜10万円くらいの費用が発生するため、面積が大きい物件の場合はとても大きな負担となります。

廃業手続きの具体的な流れ

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廃業届などの書類の準備、想定される費用の準備が整った後はいよいよ廃業手続きに移ります。

どのような流れで手続きが進行するのかを詳しくご説明していきます。

  1. 営業終了日を決定する
  2. 株主総会で2/3以上を越える承認を得る
  3. 解散決議後、解散登記・清算人登記を2週間以内に行う
  4. 財産目録・貸借対照表を清算人が作った後、承認を得る
  5. 廃業(解散)の届出をする
  6. 解散公告を官報で行う
  7. 清算人によって清算がされる
  8. 解散日の翌日から2ヶ月以内に解散確定申告をする
  9. 債務の弁済・分配後、清算確定申告をする
  10. 清算決算報告書が株主総会で承認される
  11. 株主総会後、法務局で清算結了登記を行う

営業終了日を決定する

数ヶ月の余裕を持って営業終了日を決定させます。それまでに解散する旨を従業員や様々な関係者に通知するなどの準備を行います。

株主総会で2/3以上を越える承認を得る

営業終了日決定後、株主総会を開いて株主に出席してもらいます。解散決議で株主の3分の2以上の賛成を得られると承認されます。

清算人の選定も行われ、一般的に経営者か弁護士が代表清算人になります。

解散決議後、解散登記・清算人登記を2週間以内に行う

株主総会の解散決議後から2週間以内に、所轄の法務局で解散登記・清算人登記をします。

清算人が申請書などの各種書類を集めて提出するため、弁護士を雇った場合は代行させることが可能です。

財産目録・貸借対照表を清算人が作った後、承認を得る

株主が会社の残りの財産を把握できるように、清算人が財産目録と貸借対照表を作成します。

記入する資産は処分価格で計上する必要があるため、誤って帳簿価格で記入しないように気をつけましょう。

廃業(解散)の届出をする

所轄の税務署に廃業届などの各種必要書類を提出します。

従業員を解雇する場合は労働局・労働基準監督署・社会保険事務所などに届出をする必要があります。

解散公告を官報で行う

会社法に基づいて解散公告を官報で行い、債権者に対して一定期間中に債権を主張するように通知を行います。

解散公告は2ヶ月以上掲載する必要があり、この期間を過ぎると債権者は債権を返してもらう主張ができなくなります。

清算人によって清算がされる

会社に残された資産を清算人が調査して、買掛金の債務弁済や債権の回収を行います。

清算が終わった後は、残りの資産を株主に分配します。

解散日の翌日から2ヶ月以内に解散確定申告をする

解散事業年度における解散確定申告は、解散日の翌日から2ヶ月以内に提出する必要があります。

会社の解散に至った場合も、その事業年度の所得に対する法人税の申告を忘れないようにしましょう。

債務の弁済・分配後、清算確定申告をする

解散確定申告の他に、清算確定申告も必ず行いましょう。

解散日翌日から1年ごとの期間が1事業年度となり、事業年度終了翌日から2ヶ月以内に清算確定申告を提出します。

清算決算報告書が株主総会で承認される

清算人の清算業務は清算確定申告で終わりとなりますが、その後は清算決算報告書を作成する流れとなります。

株主総会で決算報告書が承認された時点で、会社は消滅します。

株主総会後、法務局で清算結了登記を行う

最後の手続きとなるのが清算結了登記です。

株主総会で承認を得てから2週間以内に法務局に清算結了登記を行うことで、廃業に関する手続きは全て終了となります。

清算結了登記に至るまでの手続きや処理を正確に行うには、士業専門家の力が必要不可欠となります。

廃業手続きを成功させたい場合は、廃業を意識し始めた時点で廃業に強い弁護士や廃業を専門とするコンサル会社に相談することをおすすめします。

まとめ

廃業手続きは廃業届などの必要書類や費用を準備することから始まります。

書類作成の段階で多くの作業が発生するため、清算などの手続きを弁護士や税理士などに代行してもらうのが一般的です。

清算後は残った資産が債権者に分配され、解散・清算確定申告や清算決算報告書の承認を得て、廃業手続きは終了となります。

廃業手続きは関係者各所への連絡や対応が発生し、複数の債務者とのやり取りは精神的に大きな負担がかかるものです。

廃業をトラブルなく無事に終わらせるためには、士業専門家を厳選することがとても大事になります。

廃業支援センターは、専門知識と豊富なノウハウを持つ廃業コーディネーターが、廃業を検討している経営者に対して的確なアドバイスとサポートを行っています。

廃業に強い士業専門家の紹介もしていますので、廃業を平穏かつ円滑に進めたい場合は、「廃業支援センター」までご相談ください。

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