廃業を知る

小さい会社のたたみ方 費用を抑える方法と使える補助金について

小さい会社のたたみ方

小さな会社を経営している社長にとって「会社のたたみ方」は頭を悩ませる問題です。規模が小さくても、そこには顧客がいて取引先があり、従業員が存在します。会社を取り巻く全ての方に影響を与える廃業という決断は社長しか出来ません。会社をたたむ時に回りへの影響をできる限り少なくして、費用を抑える方法について本記事ではお伝えしていきます。また、廃業する時に活用できる補助金制度についても解説します。

小さい会社をたたむ時はどのような費用がかかるのか

小さな会社をたたむ際にも当然費用がかかってきます。会社を設立する際に、法務局に行って設立の登記をした事と同じように届出が必要になり費用が発生します。

 

解散登記費用 30,000円
代表清算人登記 9,000円
清算登記    2,000円

 

上記の費用が法務局への届出として必要になってきます。また、会社を閉じた事を「官報」に公告する必要があります。この費用が通常35,000円程度かかってきます。合計すると8万程度の金額かかる計算になります。この手続きを司法書士に依頼をすると5万~8万程度の金額になります。また、会社をたたむ際には都合2回決算をする事になりますが、この決算を税理士に依頼すると30万から50万がかかる事になります。会社をたたむ手続き上の費用としてトータルとして40万から60万弱は必ずかかる事になります。

退職金と解雇予告手当の費用

小さい会社であっても会社をたたむ際には、雇用する従業員の退職金を支払う必要があります。また、解雇を行う場合には解雇予告手当を支払う必要のあるケースもあります。
小さな 会社 の たたみ 方

小さい会社をたたむ時の退職金

退職金の規定は就業規則に定められているのが原則となります。10人以上の従業員をやとっている場合は就業規則を労働基準監督署に提出する事が義務付けられています。社労士を入れて就業規則を作っている場合は、退職金に関する規定を確認しておくとよいでしょう。退職金自体が法律的に義務付けられているものではありませんが、長年勤続した従業員に対する慰労金ともとらえられます。就業年数が長くなると退職金が増加する形が一般的になっています。

東京都の調べによるとモデル退職金は下記となっています。
引用
モデル退職金(卒業後すぐに入社し、普通の能力と成績で勤務した場合の退職金水準)をみると、定年時 の支給金額は、高校卒が10,829 千円、高専・短大卒が10,305 千円、大学卒が 11,389 千円であった。
東京都労働相談情報センター 中小企業の賃金・退職金事情(令和2年版)

ただ地方の中小企業の退職金の支給状況は、上記の数字にははるかに及ばないものと推測されます。また、零細企業や個人商店に近い事業者においては就業規則や退職金の規定を設けていないところも多いのが実情です。先代の社長が退職金規定を作っており、現社長が従業員の退職金がどれぐらいの金額になるのか把握していないケースもあります。会社をたたむ際にかかってくるコストとして退職金は大きなウェイトを占めるものになる場合もあるため、廃業を意識した際には就労規則の確認はしておいた方がよいでしょう。

小さい会社をたたむ時の解雇予告手当

解雇は従業員の生活に大きな影響を与えます。突然の解雇によって従業員が困窮する事の無いように労働基準法第20条に、労働者を解雇する際の手続きが定められています。

解雇の際の手続き
経営環境が悪化してこれ以上従業員の雇用を継続できないといった、やむを得ない理由によって従業員を解雇する場合は以下のいずれかの方法で手続きをする必要があります。

(1) 少なくとも30日前に解雇の予告をする。
(予告の日数が30日に満たない場合は、その不足日数分の平均賃金
(解雇予告手当)を支払う必要があります。)

手当 =
(2) 解雇の予告を行わない場合は、解雇と同時に30日分以
上の平均賃金(解雇予告手当)を支払う。

潤沢な資金を持って会社をたたむ事ができるケースはまれと言えます。会社をたたむ手続きを進める中では何かとお金が必要になってきます。解雇予告手当を支給するタイミングの資金繰りをきちんと計画してから会社をたたむスケジュールを作成する事をお勧めします。

事務所や工場、倉庫などの退去に伴うオフィス家具の処分

会社の事務所や工場などを賃貸借契約に基づいて借りている場合は、退去に伴って原状回復が必要になります。入居時に施工した造作物などは全て撤去して借りた時と同じ状態に戻す必要があります。事務所を退去する場合は机や椅子、キャビネットなどのオフィス家具などは処分する事になります。処分すべきものが多くある際はオフィス家具の買取業者に見積りを依頼してみる事をお勧めします。使っている事務机や椅子が古いスチール製で台数が1台程度しかない場合は、買取をしてもらえないケースもありますので注意が必要になります。買取業者としても、スタッフを手配してトラックを用意して伺っても引き取るものが1点から数点だと経費倒れになってしまう為、事前にどのようなものがあって買取可能か無料引き取りが可能かきちんと確認をしておく必要があります。自治体のリサイクルセンターでは、事業者の粗大ゴミを持ち込みで処分してくれるところもあります。買取や無料での引き取りが出来ない場合は、自治体のごみ処分の方法を確認しておく事もお勧めします。また、業務で使っていた書類も思いの他かさばるものです。こちらも古紙を引き取りしてくれる事業者などを探して適切に処分するようにしましょう。

小さい会社をたたむ際の原状回復の注意点

原状回復とは言葉通りに、事務所などを退去する際に借りた時の状態に戻す事を指します。通常は賃貸借契約書に原状回復に関する条項が設けられています。国土交通省の原状回復をめぐるトラブルとガイドラインによれば
原状回復を「賃借人の居住、使用により発生した建物価値の減少のうち、賃借人の故意・過失、善管注意義務違反、その他通常の使用を超えるような使用による損耗・毀損(以下「損耗等」という。)を復旧すること」と定義しています。原状回復に関しては賃貸人と賃借人の考え方の違いによってトラブルになってしますケースもあります。賃貸契約書の内容を事前によく確認する必要があります。
小さな 会社 の たたみ 方

第○条 (賃貸借物件の明け渡し)
1. 賃貸借期間の満了、解除、解約、その他事由により、この契約が終了したときは、乙は甲の定めた期間内に自己の費用負担において、乙の所有物件を全部撤去し、または造作加工した箇所があれば、全てこれを現状に復した上、甲の立会のもとに賃貸借物件を明け渡すものとする。この場合、賃貸借物件に著しく損害を与える恐れがあると甲が認めたときは、甲の選択に従い乙はその部分の造作を無償で賃貸借物件に帰属させるものとする。
2. 前項の指定期間内に乙がその所有物件等を撤去しなかった時は、甲は乙の費用負担のもとにこれを収去することが出来る。この場合甲が収去費用を支弁したときは、その支払いがあるまで前記物件を留置するものとし、該費用の支払いを勧告してもなお乙が応じなかった場合は、甲は保証金よりこれを控除充当もしくは、その支払いに代えて収去物件を所有に移すことが出来る。

原状回復の費用は物件や条件によってバラツキがある

原状回復の費用は小規模の事務所の場合は3万~5万程度と言われています。大規模な事務所場合は10万以上する場合もあります。また、指定の業者による原状回復をしなければならない契約になっているケースもあります。こうした場合は通常よりも費用が高い事が多いと言えます。通常のオフィス使用で造作壁などが少ない場合は一般的な坪単価で原状回復ができますが、ごだわった意匠や水回りを伴う造作がある場合などは費用がかさんできます。原状回復工事を依頼したことのない方が工事の見積りをとると「こんなに費用がかかるんだ、、、」という印象を持つ可能性が高いです。賃貸借契約を確認して、早めに見積りを取る事をお勧めします。

小さい会社が費用を抑えて会社をたたむ方法

小さい会社であっても解散登記の費用や官報の公告の費用は必ずかかる事になります。これらの費用を削減する事は出来ませんが、オフィス家具の処分や原状回復に関しては複数の会社から見積りなどを取って、出来る限り安い費用で対応してくれる業者を選定する事が出来ます。複数の会社から見積りをとるとひとつの作業費目に対してどれくらいの幅があるのか理解できるようになります。また見積りの費目が少なく「一式」でまとめられている見積りを出す事業者は注意が必要になります。見積りの精度とスタッフの対応などを見て総合的によい事業者を選定する事をお勧めします。また、他社に比べてあまりにも安い金額の見積りを出す事業者の場合は、作業が粗かったり、廃棄物の処分などを適切に行っていない可能性もありますので、注意をした方がよいと言えます。

小さい会社が会社をたたむ時に活用できる?補助金について

中小企業の廃業件数が増加する中で、後継者のいない会社の事業承継を円滑におこなって産業の新陳代謝を高める為に中小企業庁が実施する事業承継・引継ぎ補助金があります。

事業承継・引継ぎ補助金の概要は下記となります。

事業承継・引継ぎ補助金(専門家活用)には、【Ⅰ型】買い手支援型、【Ⅱ型】売り手交代型の2種類があります。類型ごとに補助上限額が異なりますので、ご注意ください。
なお、不動産売買のみの引継ぎは、対象となる経営資源の引継ぎに該当しません。

【Ⅰ型】買い手支援型
事業再編・事業統合等に伴う経営資源の引継ぎを行う予定の中小企業者等であり、以下のすべての要件を満たすこと

事業再編・事業統合等に伴い経営資源を譲り受けた後に、シナジーを活かした経営革新等を行うことが見込まれること。
事業再編・事業統合等に伴い経営資源を譲り受けた後に、地域の雇用をはじめ、地域経済全体を牽引する事業を行うことが見込まれること。
【Ⅱ型】売り手支援型
事業再編・事業統合等に伴い自社が有する経営資源を譲り渡す予定の中小企業者等であり、以下の要件をみたすこと

地域の雇用をはじめ、地域経済全体を牽引する事業等を行っており、事業再編・事業統合により、これらが第三者により継続されることが見込まれること。

(参照元:事業承継・引継ぎ補助金事務局)

上記の【Ⅱ型】売り手支援型の中で、補助対象経費の区分は謝金、旅費、外注費、委託費、システム利用料、保険料、(廃業費)廃業登記費、在庫処分費、解体費、原状回復費となっています。M&Aをして会社や事業の買い手が見つかり案件がクローズした場合、自社の廃業費を補助するという形になっています。会社や事業の譲渡が前提となる補助金ですので、自社が単独で廃業する際には適応されません。

現在公表されているスケジュールは下記となっています。

公募期間 2021年9月30日(木)〜2021年10月26日(火)18:00まで
交付決定日 2021年11月中旬(予定)
事業実施期間 交付決定日〜最長2021年12月31日
交付手続き   2022年3月下旬(予定)

10/26までに申込みをして、買い手との交渉をして12月末までにディールを完了出来れば、3月に公布を行うという事になります。補助率は補助対象経費の2 分の 1で、補助上限額が250万以下となっています。今から買い手探しをスタートするという事だとスケジュール的に厳しいものがありますが、譲渡先の目途がある程度たっていて自社は廃業をするという場合は検討に値する補助金と言えます。詳細な条件については要綱をしっかりと確認する必要があります。

まとめ

小さい会社であっても会社をたたむ為の登記費用は法務局で定められた一定の費用が必要になってきます。そうした手続きを司法書士に依頼すると別途費用がかかってくる事になります。手続き自体は複雑なものではないので、自分でやる事が費用の削減につながります。会社で使っていたオフィス家具の処分や原状回復などの費用はケースバイケースになります。出来るだけ早めに複数の業者から見積りを取って、適切な依頼先を選定する事が費用を抑える事に繋がります。作業などに時間を掛けれすに急ぎで業者にお願いする場合はどうしても費用がかさんでしまいます。小さい会社をたたむ時は出来る限りコストを削減できるように早めの準備をする事をお勧めします。廃業支援センターではコストを抑えた会社のたたみ方を支援しています。お気軽にご相談ください。

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