廃業を知る

飲食業の倒産件数は過去最多。コロナの影響と今後について

飲食店の倒産

コロナ禍にあって2020年の飲食店倒産件数は過去最大に上っています。業界全体で今後も厳しい状況が予想されるなか、廃業を視野に入れている飲食店の経営者もいらっしゃるのではないでしょうか。ここでは倒産・廃業の具体的な要因や、経営者が廃業を決意した時にやるべき手続きなどを解説します。

過去最多となった飲食業の倒産件数

飲食業の倒産が全国的に増加しています。東京商工リサーチによると2020年、飲食業の全国倒産件数(負債1,000万円以上)は、前年比5.3%増の842件にも上りました。この数字は、年間最多となった2011年の800件を上回っています。
新型コロナウィルス感染拡大による営業時間の短縮要請や外出自粛により、特に大人数での会食が難しくなったため、飲食業の売上は激減しています。持続化補助金や時短要請への協力金があるものの、今後も厳しい状況が続くことが予想されています。

飲食業の小分類では8業種で増加

飲食業の倒産状況を業種別にみると、飲食店10業種のうち、8つで倒産件数が増加しています。「専門料理店」(日本料理店、料亭のほか中華料理店、ラーメン店、焼き肉店など)が201件と最多。次ぐ「食堂、レストラン」の194件を合わせると、全体の50%近くに上ります。また3番目に多かった「酒場、ビヤホール(居酒屋)」の174件は、過去最多となっています。
倒産が前年よりもっとも増加した業種は「寿司店」で昨年の20件から32件に増えて前年比60.0%増。次いで「そば・うどん店」の46.1%増、「酒場、ビヤホール(居酒屋)」の27.0%増でした。特定の業種に限らず、飲食店全体が大きな打撃を受けていることがわかります。
参照元:https://www.tsr-net.co.jp/news/analysis/20201204_04.html
参照元:https://www.tsr-net.co.jp/news/analysis/20210107_01.html

飲食業が倒産・廃業する理由

飲食店の倒産
飲食業が倒産する理由について、主なものを説明します。
1つ目は、資金繰りの悪化です。開業前に事業計画書を作成しますが、すべてが計画どおりにはいきません。店舗設備費が予想以外にかかった、期待していたほど集客できない、コロナ禍のような社会的な影響を受けるなどの理由で、資金がもたないケースが多いのです。運転資金は最低でも6ヶ月分が必要とされていますが、決して十分ではありません。
2つ目は、流行り・廃りです。ここ数年のタピオカブームに見られるように、飲食業には流行り・廃りがあります。流行っている時は、毎日長蛇の列が店頭にできるものの、いつまでも続きません。一過性のブームに乗って開業した場合は、適切な業態転換を行っていかないと、ブームの終わりとともに倒産してしまいます。
3つ目が立地の悪さです。すばらしい料理とサービスを提供できても、立地が悪いと客足は遠のき、従業員を集めにくいこともあります。結果として、経営が悪化、倒産・廃業に追い込まれてしまうのです。
4つ目が人手不足です。どれだけ経営状態が良くても、人手が足りなければ、営業は続けられません。飲食店は、正社員だけでなくアルバイトも定着率が悪い業種なので、人手不足は大きな倒産・廃業要因なのです。人出不足解消には人件費アップが欠かせませんが、飲食店における人件費は、原価と並ぶ大きな費用です。人手不足だとサービスが低下して客が離れる、かといって人件費を上げると経営を圧迫するという、難しい舵取りを迫られることを忘れてはなりません。
5つ目が後継者不足です。高齢のため子供や親戚に店舗を引き継ぎたくても、跡継ぎがいない場合もあります。そのため経営状態がよくても閉めざるをえない店舗もあるのです。
飲食業は、開業後に固定客がついても、そこで安泰とはいきません。
自身の店舗や近隣のライバル店だけでなく、業態や業種全体の状況にアンテナをつねにはっておくことが求められます。安定した経営を続けるためには、世の中の経済状況やトレンドの情報を集め、先を読んで自身の店舗に反映させる絶え間ない努力が必要です。

倒産を避け増加する「あきらめ廃業」する飲食店も

東京商工リサーチによると、倒産だけでなく廃業・解散した飲食店も増加傾向にあります。2020年で廃業した飲食店は、は1,711件(前年比6.5%増)にも上っています。「廃業」とは自らの意志で事業をやめること、「倒産」は債務超過に陥って店をたたまざるを得ないことです。
廃業した飲食店のなかには、新型コロナウィルスの影響で先行き不透明な現状を前に「あきらめ廃業」した店舗もあります。借金を重ねて経営を続けても今後返せる当てもなく、給与や債務の支払いがますます滞ることも予想されます。そのため、取引先や従業員に迷惑をかけないよう、資金に余裕があるうちに事業をあきらめるという決断に迫られたのです。
参照元:https://www.tsr-net.co.jp/news/analysis/20210118_01.html

飲食業における倒産・廃業の手続き

飲食店の倒産
債務超過によって破産せざるを得ない状況の倒産とは違い、廃業は経営者が能動的に事業を終わらせるものなので、手続きは異なります。また廃業するには資金が必要なので、資金に余力があるうちに決断をする計画性も必要です。
賃貸物件の場合、廃業を決意したら、オーナーサイドにできるだけ早く解約を申し出ます。引き渡し期日までに閉店・原状回復工事を終了するのが廃業の基本的な流れです。電気、ガス、水道など事業者とも解約手続きを行い、リースの残債があれば精算し、ビールサーバーなどのレンタル品は返却します。
なお閉店後は保健所、警察署、税務署のほか、従業員がいた場合は公共職業安定所などの行政機関へ各種届け出を行います。届け出はそれぞれ「閉店後〇日以内」と決まっているので注意が必要です。

飲食業の倒産・廃業で注意すること

倒産・廃業にあたっては、取引先や従業員への通知も必要です。従業員への通知は「閉店30日前まで」に行うことが労働基準法で定められています。30日に満たない日数で解雇すると、不足する日数分の賃金を支払う必要が生じます。
また、賃貸していた店舗物件をどうするかも重要なポイントです。廃業後のことを考えると、賃料や原状回復工事費用などはできるだけ抑えたいものです。早めに手続きを進めることで後々のトラブルを避けられます。
店舗物件の処理方法としては、店舗の売却、第三者へ業務委託、M&Aで事業譲渡するといった3つの方法があります。
もっともメリットがあるのが居抜きでの売却です。営業しながら買い手を探せる、原状回復工事の必要がないことが大きなメリットです。店舗の設備を譲渡できれば売却益も得られます。だたし、スケルトン戻しといった原状回復の必要がある場合は、費用が高額に上るので注意が必要です。当然のことですが、居抜き売却は物件のオーナーや不動産管理会社の了承を得なければなりません。
不動産契約はそのままで、経営者が経営から退き、第三者に店舗を委託する方法もあります。収益もリスクもすべて委託者にまかせ、一定の報酬を受け取る契約にできると、自身が受けるリスクは低くなります。一方、名義だけ変えて、収益とリスクを自身に割り当てる契約にすると、以前と変わらない状況になってしまうでしょう。
M&Aによる事業譲渡とは、不動産契約や経営権をまるごと第三者に譲渡し、引き続き経営をしてもらうことです。店は存続するので、従業員や顧客、取引先に影響を与えない点がメリットです。
夢と可能性を追い求めて開業した店舗を閉めるのは、非常に辛い選択です。廃業の手続き自体に不安を感じるかもしれません。「廃業支援センター」は、経営者側に寄り添った丁寧な廃業支援を行います。担当するのは廃業を知り尽くしたプロフェッショナルばかり。チームを組んで経営者の廃業手続きをサポートします。
法人だけではなく、小規模や中規模事業経営者の相談も多く受け付けています。廃業の可能性がでてきたら、まずは「廃業支援センター」にご相談ください。

まとめ

コロナ禍にあって倒産・廃業件数が、かつてないほど多くなっている飲食店。廃業にあたっては、これまでの精算や従業員・取引先への告知、役所への届け出など、さまざまな手続きが必要です。廃業には資金が必要なので、計画的に進める必要もあります。タイミングを逃すと、倒産という最悪の事態に陥ってしまうかもしれません。廃業の可能性がみえてきたら、できるだけ早く専門家に相談することをおすすめします。

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