廃業の相談先とそれぞれの特徴|知っておきたい重要ポイントを解説
- この記事の監修
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株式会社リスタートスタイル 代表取締役 / 廃業コンサルタント 西澤 佳男 (にしざわ よしお)
起業3回廃業2回うち民事再生1回、双子のパパ。
ベンチャーの起業・複業・廃業の領域で「社長のサバイバル」を支援しています。
経営を終わらせる選択肢として廃業がありますが、2020年のコロナショック以降、経営の悪化によって廃業せざるを得ない経営者や個人事業主が増えています。
廃業を意識しはじめても誰にも相談できない孤独な経営者は多く、廃業の適切なタイミングを逃して倒産に繋がってしまうケースもあります。
廃業の可能性が生まれた場合、専門家へできるだけ早く相談をすることが廃業の成功の秘訣といえます。
この記事では、廃業を意識した際の相談先になる機関や専門家、そしてそれぞれの特徴を詳しくご紹介していきます。
Contents
廃業が増加傾向にある理由
廃業は能動的に事業を辞めることを意味しますが、新型コロナウイルスの影響によって経営が難しくなり廃業を決断する企業が増えています。
特に、接客を要する飲食業や宿泊業はコロナ収束まで厳しい状況にあり、黒字化が難しいと判断した時点で早々と廃業手続きを進めることも珍しくありません。
実際に、2020年1月〜12月までに休廃業・解散をした企業は前年よりも14.6%多い4万9,698件と報告されています。(東京商工リサーチによる2020年「休廃業・解散企業」動向調査結果)
倒産に関しては、政府や自治体が設けた特別な支援策によって前年度より7.2%減少しましたが、事業の持続性の改善には直結しないため、将来を不安視して事業を終了するあきらめ型の休廃業が増えているとみられています。
どのような理由で廃業を考えるのか?
債務超過によって事業を辞めざるを得ない状況の倒産とは違い、廃業は経営の悪化をはじめとしてさまざまな理由によって選択されます。
どのような理由で廃業を考えるのか、主な例をご紹介します。
客足の減少と売上の低下
廃業と聞いてまず最初にイメージされるのが経営の悪化です。
新型コロナウイルスの感染拡大による客足の減少・売上の低下に悩む企業や、ニューノーマル時代に向けた働き方改革を思うように進められていない企業などが、経営を回復させることが難しいと判断して廃業を選ぶケースが増えています。
政府や自治体はいくつかの救済措置を設けましたが、一時的なダメージの軽減にしかならず、結局は廃業という選択肢を選ぶというパターンはコロナ収束まで続くと予想されます。
高齢に伴う体力の衰え
長年、経営者という立場で事業を引っ張ってきた人が高齢化を理由に経営から退くケースは、廃業において大きな割合を占めています。
高齢化に伴う体力の衰えや判断力の低下によって思うように経営をコントロールできず、「このままでは倒産してしまうのでは?」と考える方もいるでしょう。
年を重ねるごとに病気が原因となる引退のリスクも高まるため、早めに廃業することでリスクを回避することも可能です。
また、家族の介護や看病、子供の教育の関係で経営者を引退するといった例も少なくありません。
事業承継ができない
廃業を決断する前に、親族への事業承継や事業譲渡・合併によって経営の権利を他社にバトンタッチさせるM&Aという選択肢もあります。
しかし、経営状態によっては継承者が見つからない企業もあります。
経営者の身内に事業を引き継がせられるのであれば、大事に育ててきた事業を消滅させずに済みますが、少子高齢化にある現在は後継者不足によって廃業を選ぶケースも多くなっています。
廃業の前にM&Aの可能性を探りたい場合は、廃業・事業承継を専門的に扱う相談先を頼るのがおすすめです。
廃業の相談先とそれぞれの特徴
廃業は売上の減少や高齢化に伴う体力の衰えを理由にして選ばれることが多く、廃業するならできるだけスムーズに手続きを済ませたいと思う方がほとんどでしょう。
しかし、「本当に廃業すべきなのか?」「廃業するならできるだけ資産を残したい」と悩む経営者もいるため、廃業に精通した機関や専門家に相談することが推奨されます。
ここからは、廃業の相談先とそれぞれの特徴を詳しくご紹介していきます。
商工会・商工会議所(経営安定特別相談事業)
全国の商工会・商工会議所には経営安定特別相談事業が設けられており、廃業を未然に防ぐためのアドバイスを商工調停士・弁護士・公認会計士などから受けることができます。
経営回復の見込みがあるかどうかをヒアリングや分析によってしっかりと見極め、回復の見込みがある場合は倒産を回避する具体的な方法が提案されます。
回復の見込みがない場合は、倒産防止特別相談事業が円滑な債務整理ができるような支援をします。
廃業を決断するタイミングが遅く「このままでは倒産してしまう」と感じた場合には、相談先として経営安定特別相談事業を頼ることができます。
よろず支援拠点
各都道府県に設置されているよろず支援拠点は、中小企業者、小規模事業者が抱える経営の悩みを聞き出し、専門的なアドバイスを行っている機関です。
経営に関する悩みであればどんな内容でも無料で相談を受けてくれるため、廃業以外にも資金調達や販路拡大などのアドバイスを受けることも可能です。
廃業を意識しつつも、コロナ禍における不安定な収益を安定させたい場合におすすめの相談先です。
よろず支援拠点について詳しく知りたい方は以下の記事もご覧ください。
会社をたたむ相談ができる公的な相談窓口「よろず支援拠点」の活用方法
都道府県等中小企業支援センター
都道府県等中小企業支援センターは、中小企業支援法に基づき指定された法人であり、全国に60機関設置されています。
地域産業の振興促進を目的とした取り組みが行われており、中小企業の経営におけるノウハウを持つ担当者が廃業の相談を受けて解決策を提案しています。
都道府県等中小企業支援センターに登録している税理士や中小企業診断士を、企業に派遣して経営状態を診断する支援サービスも提供されています。
また、中小企業庁では「事業承継補助金」を設けています。事業承継補助金は、経営革新に伴う一部事業の廃業費用に対する補助金が下りる制度のため、対象となる場合は有効活用したいところです。
中小企業支援センターや中小企業庁では企業の課題に寄り添った手厚い支援を受けられるため、「後継者が見つからず悩んでいる」「黒字化に転じるビジョンが見えない」といった悩みがある場合に活用しましょう。
金融機関・信用保証協会
一部の投資実績のある金融機関は、資金力を活かした廃業支援やアドバイスを行っています。
廃業手続きに必要となる運転資金や従業員の退職金資金などの融資も行っており、債務整理に対して不安を持っている場合に頼れる相談先となっています。
また、各都道府県の信用保証協会が設けた自主廃業支援保証という廃業支援を活用することもできます。
自主廃業支援保証は、後継者不足によって事業承継ができない場合などに廃業計画に要する事業資金を調達できる制度です。事業形態によっては多額の廃業費用が必要になるため、資金不足の場合は自主廃業支援保証を頼りたいところです。
各種専門家
廃業手続きは多岐にわたる手続きや処理が発生し、取引先や債権者など様々な関係者への対応も必要になってきます。
公認会計士、弁護士、経営コンサルタントなど廃業に精通する専門家は、心身ともに負担のかかる廃業手続きを代行し、円滑に会社を解散・清算して廃業に導くサポートを行っています。
廃業に対する知識が全くない場合でも、今何をすべきか的確なアドバイスを受けられるため、廃業が完了するまでの精神的な負担も大幅に軽減されます。
しかし、専門家はその名の通り専門分野に特化したノウハウを持っているため、必ず廃業に実績を持つ専門家を相談先に選ぶようにしましょう。
廃業手続き開始から終了までの総合サポートを受けたい場合は、一連の流れをワンストップで解決してくれる廃業コンサルティングを活用することをおすすめします。
廃業支援センターに相談するメリット
廃業の相談先は中小企業センターなどの機関から士業専門家まで様々ですが、廃業手続き代行のプロフェッショナルにお願いしたい場合は、廃業コンサルティングが有力な選択肢となります。
廃業支援センターが選ばれる理由
安心、そしてスムーズな廃業支援を受けたい方は、廃業の全てを知る「廃業支援センター」のご利用をおすすめします。
廃業支援センターは、廃業手続きにおける苦労と精神的な負担を実際に経験した廃業コーディネーターが、お客様一人ひとりに寄り添ったサポートを行っています。
廃業手続きの開始から終了までの手続き代行やアドバイスだけではなく、廃業後の再創業に向けた手厚い支援も受けることができます。
【廃業支援センターの主なサービス】
- 廃業コーディネート
- M&A支援
- 経営者の再創業支援
- 閉店・原状回復支援
- 経営者の移住支援
- 後継者探し支援
廃業支援センターは廃業だけではなく、M&Aや後継者探しを支援することも可能です。
各分野のプロフェッショナルである弁護士、会計士、税理士、中小企業診断士などでチームを結成し、経営状況をしっかりと分析して課題を解決に導きます。
経営者が一人で、慣れない廃業手続きのスケジューリングを組んだり手続きを進めたりするのには失敗のリスクがありますが、実際に廃業を経験し、また廃業支援の豊富な経験がある廃業支援センターの相談員であれば、リスクを軽減できます。
廃業を成功させるためには適切なタイミングで手続きを進めることが大事になります。
「いつ廃業していいかわからない」という方は、今すぐ廃業支援センターにご相談ください。
まとめ
廃業を意識した際の相談先になる機関や専門家、それぞれの特徴を詳しくご紹介しました。
現在、コロナ禍による経営の悪化や少子高齢化に伴う後継者問題などで、廃業と背中合わせの企業は多く存在します。
しかし、廃業を意識しつつも周りに打ち明けられない経営者も数多くいます。的確なアドバイスを提供してくれる相談先を見つけることは廃業手続きを円滑に進められるようになるだけではなく、廃業以外の選択肢を見つけられる可能性にもつながります。
廃業について全く知識がなく、頼れる相談先もない場合は、廃業の全てを知る「廃業支援センター」にご相談することをおすすめします。
廃業支援センターは廃業のトータルサポートを行うだけでなく、不安な廃業後の再創業支援にも力を入れています。
ご相談は無料で承っておりますので、少しでも会社の将来に不安を感じたらお気軽にお問い合わせください。