廃業を知る

ウッドショックは、与信力が低い工務店の経営状況を急速に悪化させるリスクがある  早急な再建への対策が急務です!

ウッドショック

弁護士法人匠総合法律事務所 弁護士秋野卓生

木造住宅建築の主要部材(梁、柱、土台等)として利用されている構造用集成材について、現在、価格高騰、調達困難の状況が生じています(以下「ウッドショック」といいます)。
ウッドショックの原因は、米国における住宅需要の旺盛、すなわち、住宅着工戸数が十数年ぶりの高水準にあり、コロナ禍の巣ごもりに起因するDIY需要等の増大もあることから木材価格が高騰しているため、フィンランド、スウェーデン等の欧州産木材の多くが米国へ向かっているほか、コンテナ運航が中国-米国航路に集中しているため、欧州から日本向けのコンテナの確保が難しいことが、その理由です。災害に起因すると言うより、他国の旺盛な需要に圧迫されているというのが要因です。
日経新聞などでは、木材価格が急激に高騰しているといった報道がなされていますが、実際、プレカット工場では、材料調達が困難であり、新規受注停止や工場稼働率を3割減産など厳しい措置の発表をしている状況です。
こういった状況で、プレカット工場や建材販売店が考える事は、どこも一緒であり、「プレカット代金を支払ってもらえないリスクのある工務店には材料を売りたくない。」という思いであり、今、どこのプレカット工場からも与信力の低さから、プレカット材の納品を得られていない(または、発注済みの材料は対応してもらえるが、新規案件は対応してもらえない)工務店が発生しています。
こういった工務店は、お金はあるのに、材料を売ってもらえず、その結果、工事着工の目処が立たず、途方に暮れることとなります。
着工金、上棟金が入金にならない結果、次月以降の資金繰りに行き詰まる可能性があります。早期の再建計画策定が必須となります。
また、アテにしていた着工金、上棟金が入金にならない結果、下請業者に対する支払日に支払が出来なくなる工務店も出てくるでしょう。
はっきり言って、「限りある材料」を納品する先に選ばれなかったと自覚した工務店は、傷口が大きくならないうちに、金融機関とのリスケ交渉、大口取引先との協議に着手し、資金繰りの悪化を防ぐ対策を早急に講じなければなりません。
マスコミ報道もゴールデンウイーク商戦への悪影響を嫌ってか、今までさほどなされていませんが、この悪影響は、6月あたりの支払日に直面するはずです。
こういったウッドショックの悪影響に巻き込まれないように、早めに再建のプロや弁護士に相談されることをお勧めしたいと思います。

著者プロフィール

秋野卓生 弁護士 弁護士法人匠総合法律事務所代表社員弁護士として、住宅・建築・土木・設計・不動産に関する紛争処理に多く関与している。2017年度、慶應義塾大学法科大学院教員(担当科目:法曹倫理)。2018年度慶應義塾大学法学部教員(担当科目:法学演習(民法))。管理建築士講習テキストの建築士法・その他関係法令に関する科目等の執筆をするなど、多くの執筆・著書がある。2004年~2006年東京簡易裁判所非常勤裁判官。一般社団法人住宅生産団体連合会消費者制度部会コンサルタント

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