廃業 倒産経験者向け 創業再チャレンジ支援事業補助金がスタート 東京都港区
- この記事の監修
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株式会社リスタートスタイル 代表取締役 / 廃業コンサルタント 西澤 佳男 (にしざわ よしお)
起業3回廃業2回うち民事再生1回、双子のパパ。
ベンチャーの起業・複業・廃業の領域で「社長のサバイバル」を支援しています。
コロナ融資の据置期間が終わりを向かえる事業者が増え、本業が毀損する中で廃業を検討する企業が増えている言われています。
こうした状況の中で、地方自治体も融資のあっせんというフェースがからあらたな中小企業支援策の実施に取り組むとこも増えてきています。東京都港区では新型コロナウィルス感染症の拡大に伴って、廃業や倒産をしてしまった事業者が港区で創業に再チャレンジする際の経費お一部補助する補助金を開始しました。この事業に取り組む港区産業振興課に少しお話をお聞きしてきました。
創業再チャレンジ支援事業補助金とは
制度の立ち上げの経緯としは、コロナ禍で事業環境が悪化する企業が増えるなかで、結果として事業をたたんでしまった企業の支援が何かできればという思いからスタートした補助金の制度との事です。また、制度の立ち上げに際しては先行する自治体の取り組むを参考にされたそうです。店舗等借入費、設備費、広報費が補助対象となり、100万円を限度に補助対象経費の3分の2が補助される形になります、
補助対象者に関して
次に掲げる要件をすべて満たす事業者となっています。
新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、令和2年4月7日以降に倒産、又は廃業した事業者のうち、令和3年7月21日から令和4年1月31日までの間に港区内で創業する中小企業者であること。
再創業する事業所所在地
法人の場合・・・港区内に本店登記と主たる事業所があること。
個人の場合・・・港区内に主たる事業所があること。
※バーチャルオフィスは対象外となります。
※親族及び従業員等に事業を引き継ぐ場合は、創業の対象外となります。
港区産業振興課の商工相談(事前予約必須)を受け、創業計画書を作成すること。
※港区創業再チャレンジ支援事業補助金の創業計画書が必要となります。
許認可等が必要な業種の場合は、当該許認可等を受けている者であること。
申請する事業のほかに代表として事業を営んでいないこと。
中小企業基本法第2条に規定する中小企業者であること。
風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律第2条に掲げる営業に該当しないこと。
創業再チャレンジ支援事業補助金利用の注意点
①廃業や倒産した事実を確認できる書類が必要になります。
個人事業主であれば、廃業届になります。法人であれば、清算の登記が入った履歴事項証明書が必要になります。破産をする為に、弁護士に受任をしてもらった段階では申込みする事ができないので注意が必要になります。破産の場合、裁判所に申し立てをしてから清算事務手続きが必要になりますので、手続きが全て終わった段階でこの補助金を申し込む形になります。
②創業計画が必要になります
港区産業振興課に相談をした上で、創業計画書を作成する必要があります。再創業する際に、事業計画をつくる事は必須になりますので廃業の経験を踏まえて、持続可能なビジネスモデルを考える機会ととらえた方がよいでしょう。面談は3回程度必要となります。また、日本政策金融公庫の廃業経験者向けの再挑戦支援資金(再チャレンジ支援融資)を申請する際のたたき台にもなりますので、しっかりと計画の策定に向き合う事をお勧めします。
③バーチャルオフィスやレンタルオフィスは対象外になります。
起業や再起業をする際に、審査や資金的なハードルの低いバーチャルオフィスを検討する方も多いと思いますが、この補助金では対象外となりますので、注意が必要です。賃貸借契約のある事務所などの賃料が対象となります。
補助対象経費に関して
創業再チャレンジ支援事業補助金で補助対象となるのは、店舗等借入費と設備費と広報費になります。事務所の家賃と内装工事や設備機械、そしてチラシ作成やホームページ作成などの広報費用などが補助対象になりますので、かなり幅広い経費をカバーしていると言えます。
1 店舗等借入費
賃料(賃貸借契約上の賃料とし 、共益費等は含みません。)
以下、対象事務所の要件
①契約の内容が賃貸借契約であること。
※「オフィスサービス利用契約」等、賃貸借契約でないものは対象外
②港区内の事務所等であり、住居と兼用しないこと。
※契約上居住の用に供する旨の記載がある場合、現在は住居として使用していなくても対象となりません。
③事務所等の賃料(共益費等を除く)が税込10万円以上であること。
④申請者が賃貸借契約上の借主であること。
⑤申請者が事務所等の共有借主でないこと。
⑥契約上賃借権が排除されていないこと。
⑦事務所等の賃貸借契約日が令和2年4月7日以降であること。
⑧貸主が、補助対象事業者の3親等以内の親族、その親族が経営する会社及びそのグループ会社ではないこと。また補助
対象事業者が経営する会社及びそのグループ会社の構成員でないこと。
2 設備費
・区内の事業所・店舗の外装工事・内装工事費用(住居兼店舗・住居兼事務所については対象外)
・区内事業所で使用する機械装置・工具・器具の調達・設置費用
【対象とならない経費の一部】
・消耗品
・不動産の購入費
・車両の購入費
・汎用性が高く、使用目的が本補助事業の遂行に必要なものと特定できない物品の調達費用
(例:パソコン、カメラ、携帯電話等容易に持ち運びができ、他の目的に使用できるもの)
・建物本体に影響を与える増築工事等
・既存事業の廃止に伴う機械装置・工具・器具の処分費
3 広報費
・販路開拓に係る広告宣伝費、チラシデザイン費、チラシ印刷費
・コンテンツ制作費(データ取材及び撮影に要する経費を除く)
・プロバイダー・サーバー契約料
・新規回線加入料
・独自ドメイン取得料
・ホームページ作成ソフト購入費
・ダイレクトメールの郵送料・メール便等の実費
【対象とならない経費の一部】
・切手の購入費用
・通信経費
・本補助事業と関係の無い活動に係る広報費(本補助事業にのみかかった広報費と特定できないもの)
まとめ
倒産や廃業を経験した事業者向けの支援の施策はまだまだ少ないのが実情です。そうした中で港区の創業再チャレンジ支援事業補助金は画期的な取り組みと言えます。募集開始したばかりで、申込みがあったのがまだ1件のみとの事ですが、20者程度の募集枠がありますので、港区で再チャレンジを考える事業者はぜひ検討してみてください。詳細は産業振興課ホームページ「MINATOあらかると」に掲載されていますので、こちらもご確認ください。