新型コロナウィルス関連倒産から見るコロナ禍での廃業件数の変化
- この記事の監修
-
株式会社リスタートスタイル 代表取締役 / 廃業コンサルタント 西澤 佳男 (にしざわ よしお)
起業3回廃業2回うち民事再生1回、双子のパパ。
ベンチャーの起業・複業・廃業の領域で「社長のサバイバル」を支援しています。
廃業件数が終息の見えないコロウィルスの影響で増加を続けている。帝国データバンクが9/14に発表したデータによると新型コロナウィルス関連倒産の件数は全国で2,039件になっているという。倒産の業種トップスリーは飲食店(343件)、建設・工事業(208件)、ホテル・旅館(109件)となっている。緊急事態宣言の再発動に伴って、2021年に入ってから件数の増加が顕著になっており。7月には175件と最多を記録しています。緊急事態宣言の延長により今後も増加傾向が続くと考えてられます。新型コロナウィルスの影響による倒産件数を地域、業種といった点からまとめていきます。
Contents
地域に関して
新型コロナウィルス関連倒産の都道府県別トップスリーは1番が東京で449件、2番が大阪で222件、3番が神奈川116件となっています。首都圏地域の割合が大きく、32.6ア%となっているという事からみると、事業者の総数が多い首都圏では今後も新型コロナウィルス関連倒産が増加していく事が予想されます。首都圏以外でも、沖縄でホテルを経営していた株式会社フェリーチェ負債総額36億7200万円で破産、和歌山県のヘリコプター販売及び賃貸業者のユーロテックジャパン株式会社が負債総額72億円で民事再生の適用を申請、宮城県の株式会社Sharp Document 21yoshidaが負債総額106億円で同じく民事再生の適用を申請するなど地方においても大型の倒産が目立ってきています。地域の中で、相応の顧客基盤や売上を持っていた企業が、事業環境の悪化の中で売上を減少させる中でコロナによる不振が重なって資金繰りが間に合わず経営破たんに至るケースが見受けられます。
業種に関して
新型コロナウィルスの影響による破産においての業種の傾向としては、トップスリーは1番が飲食店で343 件、2番が建設・工事業で208 件、3番がホテル・旅館で109 件となっています。旅行代理店・観光バスなどの旅行関連事業者の倒産は199件となっています。
飲食業における新型コロナウィルス関連倒産
飲食業は年明けからの緊急事態宣言の発動や酒類販売の自粛要請によって、壊滅的な影響を受けています。立地×業態×客単価という従来通りの計算では、売上が予測できない状況にあるといえます。大手チェーン店にでは、ワタミが居酒屋を焼肉店に変えていっているように、大きな資金調達をベースにダイナミックな業態転換を行っている企業もあります。一方で中小零細の飲食店はコロナの影響をもろに受けて、補助金やコロナ融資でも減少する売上をカバーする事が出来ずに、廃業やむなしという状況になっている企業も多いと言えます。
建設業における新型コロナウィルス関連倒産
建設業においても、コロナ前からの業績不振に併せてコロナによる受注減が重なって経営不振に陥る企業が資金繰りにが苦しくなり、倒産に至るというケースがおおいと想定されます。また、アメリカや中国の旺盛な材木需要により、日本に入ってくる米松などの外材が高騰しているウッドショックの影響が生じています。顧客から受注を取っても、プレカット工場に材木が入ってこない為、着工が遅れ住宅建築に携わる建築会社においては資金繰りが厳しくなっている企業も増えています。ウッドショックの影響は長期化すると言われており、競争力の弱い零細企業は事業継続が困難になる事も想定されます。
ホテル・旅館業における新型コロナウィルス関連倒産
新型コロナウィルスの影響をもろに受けたのがホテル・旅館業になります。2021年4月以降、変異株の流行によって感染拡大が続いている影響を受けて、宿泊事業は苦しい経営環境が続いています。GoToトラベルキャンペーンが実施された2020年に一時期においては、持ち直した状況もありましたが、緊急事態宣言の延長により宿泊需要の減少は避けられない状況です。コロナが当たり前になった現在からすると、昔の事のように思われますが2019年までは宿泊業はインバウンドの需要拡大により好調な売上を記録する事業者も多くありました。コロナ禍によりインバウンド需要が蒸発したような状況になり、旺盛なインバウンド需要に支えられて積極的に投資をしていた事業者は苦しい経営状況となっています。旅行宿泊の需要回復にはまだまだ時間がかかる事が予想されます。ホテル・旅館業の小規模事業者は引き続き苦しい経営環境に晒され、廃業もやむなしという決断をする経営者も増加すると思われます。
新型コロナウィルス関連倒産の今後
飲食業や宿泊業、建築業はコロナウィルスの影響をもろに受けて、非常に苦しい経営状態が続き倒産の件数も他の業種よりも。新型コロナウィルス感染症対策の中小企業向け資金繰り支援として政府系・民間金融機関による実質無利子・無担保が大規模に実勢されました。中小企業庁の発表によると、2020年の4月が申込みのピークになっています。元本を返さない据置期間は最長で5年となっていますが、融資を受けた多くの中小企業の据置期間は1年から2年がほとんどです。2021年の後半から返済が始まる企業の中には、コロナの影響で事業の稼ぐ力が回復していないところも多くあります。こうした企業にとっては元本の返済が厳しく、通常清算による廃業が難しく破産を検討せざるを得ないケースも考えられます。資金繰りに危険な予兆を感じた場合は、早めの対応が必要になります。廃業支援センターでは、廃業をすべきか否かで迷う経営者向けに無料相談を行っています。資金ショートが予測され、事業の継続が困難になる事が想定された場合は、早めにご相談ください。